第12回 開発番号25【3Dギア】全方向射出ユニット

「小さな部品、小さな金型、小さな生産装置、小さな工場」でという一般的で当たり前の考え方がある。一般的で当たり前の考え方が当たり前でない業界がここに今でも存在する。

初めて射出成形機を見たのが14歳のとき、50数年前の古い話だ。職人が、これが金型だとチェンブロックで吊り上げ、金型上部を器用に銅ハンマで叩いた。ドスン。開いた金型には、鉛筆のようなランナーと称する通路の側面に米粒大の製品が平行に8個ずつあり、合計16個取りだと教えてくれた。その金型重量はおよそ70kg。小型だと称する成形機の重量は約2,000 kg だとも言う。2,000kgの成形機から可塑化される樹脂の総量は20g。製品部は16個で3g。その重量比率は多少改善されてはいるものの、大きな変化は50年が経過した今でも変わっていない。時代とともに、さまざまな現場でさまざまな変化をしていることに人々は敏感に反応するが、変化をしないことに気がつく人は少ない。

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