第41回 開発番号75、76 射出成形による生体用医療部品「クリップ&クランプ」
2017 年2月号の第32回で番外編として、世界初射出成形による生体用医療樹脂部品「ステント」の開発経緯について述べた。薬品含浸生体吸収性「PEEK製ステント」が開発番号73、同「PLA製ステント」が開発番号74にあたる。
PEEK製ステントの事例は、φ6mmの網目ステントをφ3mmのスリーブ内に畳み込み、カテーテルで患部まで運び、その後、スリーブを外すとステントが広がり、血液・尿・胆汁などの生体液の流路が確保される。体に直接埋め込む生体用部品は、チタンおよびステンレス製が主であり、それなりの需要と相対するマーケットも世界中で存在する。しかし、金属アレルギー体質者の存在を忘れてはならない。そもそも、金属アレルギーは一定の許容を超えると症状として現れ、個々の有する許容範囲を超えた時点で治療が必要であり、有害と認識される。では、症状が出ない人は無害かと言えば決してそうではない。やはり人体には金属系生体用部品は有害と考えている。この開発/提案の狙いは、これらの魅力ある新たなマーケットに金型・成形技能者が皆で参画しませんか? と呼びかけるもの。