第9回 開発番号20負圧ストロークガスベンド【Stベンド】
連載第7回で記述したPLゲージ【インテック】同様、持ち込まれたアイデアを真ん中に数人で技術談義を進めると、多くは違った方向に議論が進む。今から21 年前、1992年の春である。アイデア工房1)の主力メンバー阿部悦久氏(ウインモールド)、山田智也氏(インテック研究所)ら数人による成形談義の中で成形機の問題点、金型側の問題点についての議論を繰り返すうちに「そもそも成形とは」との議題になった。
「成形とは空のビンに水を注ぐのと一緒。水の流入に連動して中の空気も抜けなければならない」との結論に至ったが、樹脂の金型内流入に対し、金型内の空気、樹脂から発生するガスを抜かなければならないことは綾井英二氏2)、廣恵章利氏3)、青木正義氏4)らの著書を読むとすべての前人たちが成形過程におけるガス抜きの重要性は述べてはいるものの、いずれの著書も具体例に乏しい。