第15回 1994年(発売)移動式射出成形機【BeVeL】(メイキングフィーダ)

シャーシの周りに人、部品が群がり、車体を完成させた組立て方法から、1913年に巻上機でシャーシを移動し、単車種に絞り多量生産することで、人と部品を削減・分散させ、製造コストを半減させたT型フォード。これが製造ラインの原形である。やがて、巻上機に変わって登場したのがベルトコンベヤ。流れの脇に作業者や部品、工具などを配した。単機種多量生産時代である。だが、時代は大量生産から少量多種への多様化、タイムリーな製品供給、在庫圧縮を求め始め、コンベヤ式組立てラインからセル生産方式に切り替わろうとした。プラザ合意以降、台頭する中国をはじめとする低賃金諸国への対応が急務となったことも一つの要因であろう。

1990 年を境に弱電、家電各メーカーは、米国のスーパーマーケットからヒントを得たトヨタの看板方式(1954 年一部スタート)を祖とする新たな生産方式を生産革命と称して取り入れ、組立て現場からベルトコンベヤを一掃した。コピー機など、一人の作業者で組立てのすべてをこなす「一人屋台生産方式」や「U字ライン」(トヨタ、JVC、パナソニック)、多方向からさまざまな部品を送り込み、最終組立てを扇に例えた「扇ライン」(パイオニア)、「スパイラルライン」(ソニー幸田)などである。

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