第17回 1996年(発売)世界最小ホットランナーチップ【マイクロプローブ】

当社設立の原動力となった1985年開発番号1番ユニット金型【コマンドシステム】、1990年開発番号19番【コニカルスクリュー】、【フラットスクリュー・デスクスクリュー】。これらの開発はいずれも成形機の小型化に大きく貢献した。目標は、小さな部品は小さな金型で、小さな生産装置で、小さな工場で。金型はユニット化により20%程度まで小型化され、スクリューは前回紹介したフラット化で95%以上短くなった。この2つの新技術で成形機は小さくなると信じていた。しかし、人の身長の倍以上あった縦型成形機は1,600 mm、重量は150kgと、当初描いたほど小型には至らなかった。それでも、縮小率は50%と劇的な小型化との評価を受けたものの何かが足りない。

一方、生活の糧とした受注金型にも変化が訪れていた。なんと受注した金型に「ホットランナー仕様」と明記されていた。コストより環境を優先する時代の到来でもあった。資料を取り寄せると、いずれも大きすぎると感じたが、仕方なく大阪K社が販売する比較的小型のS社製を採用した。価格も4チップ、マニーホールド、制御盤を含め220万円也。総金型代金は280万円。ユーザーからの支払いは150日手形であっても、K社への支払いは現金支払いと譲らなかった。泣きながらもそれに応じたが、無条件で受け入れたわけではない。納得しなかったことで得た収穫の方が大きかった。ホットランナーを取り巻く環境、現システムの欠点など、多くの問題点が発見できた。

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