第19回 1998年(発売)金型搭載用マイコン【EuroCount】(1)

物言わぬ金型がある。一人では何もできない。成形機に取り付けてもらい、閉じてもらい、樹脂を注入してもらい、開いてもらう。さらに製品までもエジェクタピンで押し出してもらう。累積ショット数の管理は無論のこと、製造年月日、図面仕様書、理論サイクルの表示、金型ごとに異なる成形条件、資産番号、修理記録、まだまだあるぞ。

新規開発は、不便と感じたことを商品化するのが肝要。すなわちニーズを探ると皆が唱える。そもそもそこが違う。ニーズがある以上、そこには当然マーケットは存在していることになる。マーケットの存在する開発では競合も多く過当競争となり、おもしろくも何ともない。開発の醍醐味は「不便を感じてない案件に不便さを吹き込む」、「自前のマーケットを創造する」こと。少なくとも世界中の人々は「金型が何もしないことに不便を感じていない」のだ。だが、金型が自ら何もしないのはおかしいと言い続ければ、最低限累積カウントだけでも金型にさせようではないかということになる。

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