第25回 開発番号62小型射出成形機【C,Mobile】(1)

再記するが、町工場の開発で肝要なのは生命線でもある日常業務から得る収益の確保だ。収益を確保できなければどんなに斬新な開発であっても頓挫する。商品開発の最適任者は金型メーカーの社長だと考えている。町工場の経営者はモノづくりの経験が豊富である。さらに、機械操作が可能な技術者は開発に最も近い存在だと考えている。また、決定権をもつ経営者でなければ町工場の開発はかなわない。開発には莫大な費用と時間を要する。単純な日常業務こそ社員に任せ、社長自身が開発することで費用も時間も節約できる。ほかに収益を確保する手段もなく、現場が唯一と言う町工場が大半であるが、経営者自身がなぜと言う問題意識と、収益を担保する現場の人材は決して巻き込まないと言う覚悟さえあれば開発は難しいことではない。

開発に必要なのはマーケットのニーズ・シーズを汲み取ることだと多くの著名人は語るが、自分が不思議に感じることとみんなが感じる不思議が同じ必要はない。むしろみんなが「なぜ」、「不思議」と感じない案件の方が開発の意義は大きい。不便には「みんなが感じない不便」と「みんなが感じる不便」がある。後者には多くの企業・開発者が参入するが、前者には参入はない。それが自前のマーケット、すなわちマーケットの創造である。

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