第24回 開発番号59非接触加工【C,AXIS】
腕を競い、技術を競いあった昔の仲間が現状の金型製造を憂えていた。加工機は縦フライス、横フライス、ボール盤、ラジアルボール盤、シェーパー。仕上げ師が目的に沿った複数の自前のタガネで正確な角を掘り出せた。当時、そんな一流の職人を何人抱えるかが金型メーカーの競争力であった。その時代をいまさら憂えても仕方ない。既製化されたモールドベースを購入。良いと言われるマシニングセンタ、形彫り放電加工機、ワイヤ放電加工機、CAD/CAMさえ購入すれば、明日から金型が製造できる今、いまさら職人にとって良き時代を懐かしんでも仕方がない。簡単に技術がお金で買える時代、競争力が資金力で調達される今、お金で解決できる良き時代も長くは続かない。そろそろ終焉も近いのではと考えている。
多少体力のある金型メーカーは円高を背景に、経営者にとっては一番安易な方法である海外進出を決め、多くのメーカーが海外に拠点を設けた。進出した各メーカーの設備とローカルメーカーの設備力に格差があれば競争力も担保されるが、こぞって最新設備を導入するローカルメーカーが多ければ多いほど、設備的優位性が担保される時期は想像以上に短いと考えるべきであろう。ましてや円安の時代でもある。